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2016年02月25日

縁を生かす

縁を生かす



「縁を生かす」

その先生が五年生の担任になった時、一人、服装が不潔でだらしなく、どうしても好きになれない少年がいた。
中間記録に先生は少年の悪いところばかりを記入するようになっていた。

ある時、少年の一年生からの記録が目に止まった。
「朗らかで、友達が好きで、人にも親切。勉強もよくでき、将来が楽しみとある。
間違いだ。他の子の記録に違いない。先生はそう思った。
二年生になると、
「母親が病気で世話をしなければならず、時々遅刻する」
と書かれていた。

三年生では
「母親の病気が悪くなり、疲れていて、教室で居眠りする」
三年生の後半の記録には
母親が死亡。希望を失い、悲しんでいる」
とあり、四年生になると
「父は生きる意欲を失い、アルコール依存症となり、子どもに暴力をふるう」
先生の胸に激しい痛みが走った。
ダメと決めつけていた子が突然、深い悲しみを生き抜いている生身の人間として自分の前に立ち現れてきたのだ。

先生にとって目を開かれた瞬間であった。

放課後、先生は少年に声をかけた。
「先生は夕方まで教室で仕事をするから、あなたも勉強していかない?分からないところは教えてあげるから」
少年は初めて笑顔を見せた。
それから毎日、少年は教室の自分の机で予習復習を熱心に続けた。

授業で少年が初めて手をあげた時、先生に大きな喜びがわき起こった。
少年は自信を持ち始めていた。
  
縁を生かす


クリスマスの午後だった。
少年が小さな包みを先生の胸に押しつけてきた。

あとで開けてみると、香水の瓶だった。亡くなったお母さんが使っていたものに違いない。 先生はその一滴をつけ、夕暮れに少年の家を訪ねた。

雑然とした部屋で独り本を読んでいた少年は、気がつくと飛んできて、先生の胸に顔を埋めて叫んだ。
「ああ、お母さんの匂い!
きょうはすてきなクリスマスだ」

六年生では先生は少年の担任ではなくなった。 卒業の時、先生に少年から一枚のカードが届いた。

先生は僕のお母さんのようです。そして、いままで出会った中で一番すばらしい先生でした」

それから六年。またカードが届いた。
「明日は高校の卒業式です。僕は五年生で先生に担当してもらって、とても幸せでした。おかげで奨学金をもらって医学部に進学することができます」。

十年を経て、またカードがきた。
そこには先生と出会えたことへの感謝と父親に叩かれた体験があるから患者の痛みが分かる医者になれると記され、こう締めくくられていた。
「僕はよく五年生の時の先生を思い出します。あのままだめになってしまう僕を救ってくださった先生を、神様のように感じます。
大人になり、医者になった僕にとって最高の先生は、五年生の時に担当してくださった先生です」

そして一年。届いたカードは結婚式の招待状だった。

「母の席に座ってください」

と一行、書き添えられていた。

縁を生かす



著作 国際文学療法学会会長 鈴木 秀子 月間「致知」平成17年12月号特集「縁を生かす」より






  2月21日に名古屋で、この鈴木秀子先生にお会いする機会をいただきました。鈴木先生のお話は、本当に静かにそして吸い込まれていくかのように始まり、その優しさにすべてが包み込まれていきました。何度も何度も感動し、熱いものがこみ上げてきました。
~たった1年間の担任の先生との縁。人は誰でも無数の縁の中に生きている。無数の縁に育まれ、その人生を開花させていく。大事なのは与えられた縁をどう生かすかだ~とお話しくださいました。
 私も、人生の過去も現在もそして間違いなく未来も、いろいろな縁の中で生きてきたし、これからも生きていくと思います。
 「苦しみが与えられるときには、それを乗り越える力も同時に与えられる」というお話には、私自身本当に救われる重いでした。
 「自分に起こる出来事は 必然である」⇒起こった過去は変えられない⇒変えられるもの…『未来』と『自分』
素直に受け止めて努力していきたいと思いました。



Posted by 奄美ムラタ薬局 at 19:55│Comments(1)
この記事へのコメント
お久しぶりです。
ムラタ薬局が恋しくなって、ブログをのぞきました。
久典先生と佳志子先生の写真をみたら元気がでました。
お忙しいと思いますが、ブログ更新楽しみにしています。
私も来週から仕事頑張ります。
Posted by 吉満 梨香 at 2016年04月27日 08:39
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